摩擦圧接とは
摩擦圧接加工
圧接のひとつ、摩擦圧接は回転させた金属材料を触れ合わせて接合するので、高い摩擦熱が発生する危険な加工法です。 グルングルンと回転させながらふたつを接触させ、回転を止めて高い圧力で押し付けて一気に両者を接合させます。 溶接とは違って広い面での接合ができますので接続強度は段違い、頑丈な製品を作るのにとっても適した技術となります。 どんな材質にでも使える応用力もあり、ステンレスやアルニミウム、銅なんかもこの技で接合することができてしまいます。 普通の溶接では容易に接合できない物質同士でも摩擦圧接ならわりと簡単にひっつけることができますので、さまざまな分野で活躍していますが、 あまりそのありがたさを実感していない人も多いのではないでしょうか。 工場で勤務している方の中でもこの摩擦圧接加工について詳しく理解しているのはごく僅かでしょうし、聞いたことも無いという人だっていそうです。
摩擦圧接の仕組み
木材よりも硬い金属の原子は、規則的に配列されておりそれぞれが反発しあったり引き寄せる力が働いて互いに均衡した状態で安定しています。 外部から力を加えることによってこの状態が崩れると引きちぎられたり接合するのですが、摩擦圧接ではこの仕組みが使われます。 ただ強く押し付けあうだけでは金属は結合しませんが、それは表面に酸化被膜やサビなどが付着しているからで、 どんなに圧力をかけてもそれらを挟んだ状態では金属同士が結合することはありません。 そこで金属材料を回転させながら触れ合わせ、表面の酸化被膜などを摩擦熱で排出して原子をむき出しにするのです。 不純物のなくなった金属材料の表面同士を高温で高圧のまま接触させると、原子の往来もできるようになり結合という反応がそこには発生します。 これが摩擦圧接の仕組みで、かっこよくいうと原子レベルでの結合なのです。
摩擦圧接の手順
ではどんな手順で摩擦圧接が行われるのか、簡単に解説してみましょう。 まずは摩擦の工程で、接合するふたつの金属材料を固定しますが、片一方は高速で回転させるためのマシーンに取り付けます。 そして回転させながらもう一方の金属材料に接触させるのですが、接触面は摩擦により高温を発するので作業者は軍手などを着用しないと危険です。 加圧しながら回転させながらの接触で、表面からはバリが排出されます。 ここまでが摩擦工程で、頃合を見計らって回転を止めアップセット工程へと進みます。 この工程はただ強い力で圧力をかけて両者を押し付けるだけですが、不思議なことにそれだけでふたつの金属材料はまるでひとつの物質のように強固に結合します。 最初から最後までそれほど長い時間はかからず、小さめのものなら1分の半分もかかりませんし、大きめの物でも1分の倍ほどで作業完了となります。 それよりも金属材料を設置したり取り出すほうに時間がかかりそうなほどなので、熟練者が作業を行ったほうが効率は上がるでしょう。